2008.05.15 蛍雪の頃
さて、皆さまご記憶でしょうか、『The History Boys』。
夏夢が始まろうが盛り上がろうが終了しようが地方に続こうが、実は私は構うことなく引きずっておりました、しつこくも。

というかね、スクリプトを読んだのですよ!
もーう、自分の聞けてなさに号泣しつつ。うおぁっ、きみたちそんなこと言ってたんかい! と観てるはずなのに新鮮な感動に満ち溢れてて情けないったらないですが。いやでもあれだけ見知らぬ小難しい用語続出でマイルドなほのめかし表現頻出の俗語と文語と古典引用の嵐の中で、それでも一応方向性的にはそんなに間違ってなかったのは偉いはず。と自分を褒め慰めておきたい。
これ言葉がオールクリアに理解できてたら大泣きしたね! 泣くって。なんで周囲のロンドン人たちは泣かないんだ? いくら演出がサラっと舞台だからって。ああでもスイートな感傷をゆるしてくれるような舞台ではなかったんだな、確かに。だからこそ私も好きだったっていうのは本当なんだ。

あ、そうだ。
とりあえずですね、下のほうでダーキンダーキン連呼している人物名が、日本語的には「デーキン」 と綴られるのが正しいことが判明しております。ははっ☆ いまさら面倒なので特に修正しませんが、あれはデーキンと思っといてください(爆)

っていうかそれ!
デーキン! ちょっとデーキン! あなたデーキン!! (なんなんだ…)
彼ってもっと、なんていうの、もっとずっと違うふうにつくってもいいよね!? いやアレだってそうであったかなかったかと問われたら確かにそうであったわけだし、申し分なく必要を充たしてはいたと思うのだけど、でもでもでも! ――ああけどイギリス好みだとアレがど真ん中なのかもしれないなあ。だがしかしもしも日本でやるならあんなにさらっと演じてる場合じゃないぞ!(何言ってんだか解んねーよ)
うわー、騙されてたなあ私。あのカラっとしたスタイリッシュな演出にすっかり嵌められてましたよ。

これはねえ、スタジオライフは上演するべきですよ、まじで。
当初は若手公演で演ったらいいんじゃないかなとか思ってたんですけど。ふつうの高校生たちなので若手でも役作りしやすく、むしろリアルさ的には若い方が望ましいし、さらに教師の役でシニアとかベテラン勢ががっつりサポートに入れるという。そのうえ実はメークドラマは教師が担ってるし。んでもって客寄せパンダ的にアーウィン役をジュニ3あたり(岩崎さんや高根さんなど) にしておくとチケットも売れて万歳、みたいな。目論見を提案しようと思ってましたが。
だがしかしスクリプトの中のあのデーキンやあのポスナーを知ってしまった今となっては。これは若手とか言ってる場合じゃない、デーキンに山本芳樹を呼んで来い、ポスナーに林勇輔を連れて来い、くらいは言いたい世界でありますよ。それで倉田演出であの台詞群言わせたら、もうこれロンドン版の影も形もないくらい別物になりますけどね絶対。

デーキンてもっと全然、露骨なくらい危険な雰囲気の子でもよかったんだなーと思って。“かっこいい” のレベルで済まさずに、ちょっと普通じゃない、魔性な魅力とかあっても。
いや、もちろんロンドン版の彼も――まあ私が観たのは二度ともアンダーの人でしたが(でもそれで何か“劣る” んじゃないかという印象がしたわけでは全くない)――特別っぽい魅力って、間違いなくありました。才気走った闊達さとか。人目惹く存在感とか。でもそれでもあくまで全体のつくりとしては、リアルにふつうな男子高校生だったから。そしてロンドン版のそのさらっと流れてく、引きずらない空気感ってすごくよかったんですけど。
でももしこれがその湿度の高さにおいて世界に知られる我が国ニッポンで上演されるのなら、もっと妙な色気というか、引力ある子につくっても絶対にゆるされるはず。24年組系の少女漫画の空気纏って。
残酷で美しい、蠱惑的な高校生。それでいてその実、内面は思いのほか一途だったりする。周囲の人心を撹乱しながらも、深層の思いは自覚するより切実で純情。なんだかんだ言っても結局は子どもで。つまり要するに――我々に判りやすい喩えを探すなら、メッシュとか。厳密にはちょっと違うけど。
そんなデーキンを、誰か日本でつくりませんか?(笑)

ポスナーは、あの本からイメージしたら、いかにもショタな風情のかわい子ちゃんが起用されるのがふつうなのかもしれないです。おとなしい良い子で、見た目まだ子ども☆ みたいな。
――いや、ダニエルはだからそれでも物凄い適切に要求満たしてたってことなんですけど。ぽつんと小柄で、変声期前レベルに可憐な声で喋り、ナイーブな印象だけど芯は決して弱いわけではなく。でも感受性は人より鋭敏。そのやさしさやかわいさが、ちょっと劣等感まじりのみそっかすすれすれに描かれていて私は大好きだったのだけど。
だがしかし戯曲的には天使系の坊やが演じてもいいんだろうなとも思う。フロイラインなクラスのアイドル的な佇まい持ってて、内部で繊細に悩み抱えてる、みたいな。そういう感じでも有りなんだろうなと思いました。(だがしかしそうではなかったダニエル・ファインに万歳なのさ)

これほんとに、よくできた戯曲なんだけどなー。文中で既に指示されてるオープニングとかエンディングもとってもお洒落だし。誰かかっこよく訳して日本でも上演しないもんかな。でもスタイリッシュかつスマートな翻訳でないとヤだな(笑)
ただまあ日本とは微妙に異なるっぽい大英帝国の受験システム(しかもクレバーな成績優秀者が挑む超難関ハイレベル名門校の入試) はじめ、詩だの映画だの、文化的理解というか、喋ってることを皮膚感覚で共有できるか否かというところに大きな壁があるでしょうか。
そんなに、問題はないと思うんだけどな。どうかな。

まあ、それはともかく、以下みなさまへのご紹介を兼ねつつ自分のための参考資料集。

ナショナルシアターの出してる動画らしいです。
参照
1'50 くらいにアップになってるのがポスナー役の人です。髭が汚いとか言われてる彼。
…………待って! 怒らないで! ええと、これは私も驚いた。別人ですって、こんなセクシーガイもどき。ほんとにね、舞台上ではのたうつ可憐さだったの。 まじで。 いやだからこの人ぜったい芸達者なんですってば。年齢とかのプロフィールが全然出てこないんですけど、プログラムに載ってるお仕事リストが他のボーイズと比べて圧倒的に多い――ということキャリアはそれなりっつーことなんですよ。声も、あの超ラブリー声は作って喋っていたのだねえ。
ポスナーの前に映ってて、ちからこぶにキスしてる彼がスクリップス役。この役も配役時に物理的な規程を受けるんだな。さらっとラフマニノフ弾きこなせる人じゃないと(それって…) ポスナーの直後はデーキンですが、私は彼は観てません。顔はこっちのがレベル上です(笑)
ボーイズが一列に並んで歌ってるところ、身長的に真ん中でへっこんでるのがポスナーね。その分声でひとり高いとこ行ってます。
初演キャストの動画はいっぱいあるのに、どうして08キャストはこれひとつだけなんだろう。


っていうか、初演キャストは映画にもなっちゃってるらしいです。うおー、羨ましいっ! 08キャストでもそれやろう! いや、映画じゃなくていいから舞台のDVD売ろう! そしてもちろん国外発送も承ろう!
んでまあ、これがおそらくその映画版なんだと思うんですが。私の大好きだったスクリップスとポスナーの小芝居のシーン。元ネタはモノクロ映画の『逢びき』 ラストシーンと判明しております(知らんわ!)。
初演のポスナーは正統かわいこちゃん路線ですね。でもラストの抱きつき方はダニエルが完璧でした。
参照

『Bewitched』 は初演ポスナーもすっごいかわいいです。デーキンの微妙な表情とかクラスメイツのなまぬるい思いやりとか、アップになると面白いです。
参照


ついでに参照
『ロード・オブ・ザ・リング』 のオフィシャルサイトです。ここの「Music, Video & Photos」 のコーナーの「Show Footage」 で、あのド派手なステージの片鱗を動画で観られます。5番目の「Lothlorien」 でレゴラスが堪能できることになってますが――やはり彼の魅力は正面アップではなく全体像の横顔であるな…。よって2番目の「Show Montage 2」 を観られたし。一瞬ですがレゴラスの美しい殺陣が映ってます。アルウェンとアラゴルンのキスシーンの直前ね。
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